解説
この作品は、「2本のフルートとピアノの編成で、コンクールの課題曲にふさわしい充実した曲を」という出版社の依頼で、「時」をテーマに作曲されました。単一楽章で、序奏、緩徐、急速、緩徐、結尾の5部分からなります。「序奏部」は三連符の持続音動機(ピアノ)が続いて、半音階的旋律線が微妙に揺れ動き主題を形成します。「緩徐部」主題は不穏な半音階旋律に累積4度和音が鳴り響きます。「急速部」は低音(ピアノ)の激しい持続リズムに2本のフルートがリズミカルに応答して、半音階的動機と累積4度和音動機で激しく応戦します。次に不思議な輝きを放つ平行5度の旋律線が累積4度和音の伴奏音形で広がりを見せ、やがて序奏部が拡大された「緩徐部」に戻ります。静けさを取り戻して、「結尾部」は一体化した2本のフルートのユニゾンとなり、最後は強烈に序奏主題が響きわたります。小野貴子さんはドイツを拠点に活動しているピアニスト、作曲家です。リューベック音楽大学、ニュルンベルク音楽大学音楽院の出身で、現在、日本と欧州で創作演奏活動を続けています。(解説/佐野悦郎)ニュース
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