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季刊誌「ムラマツ」に掲載されたエッセイをご紹介いたします。
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エッセイ「フルートで料理」 ESSAY
文:齋藤賀雄(元読売日本交響楽団フルート奏者 東京音楽大学教授)
画:おおのまもる(元読売日本交響楽団オーボエ奏者)
9 「道具」
 暇なときには厨房に入ってみようという男には、なぜか道具に拘りを持つ人が多いような気がする。もっとも、台所をあずかる専業主婦の場合には、毎日の食事作りに追われていて、そんな悠長なことを言ってられないから、男達のそれが目立つのかも知れない。

 用が足りればいいからという発想しかない場合には、道具に拘ってみようという気にもならないのだが、 “大根おろしはやはり昔ながらのおろし金でなければ” というような、そんな原点からの発想を、厨房に足を踏み入れる男達は持ち合わせているようだ。

 女性が忙し過ぎる世の中だからかも知れないし、男女平等をしっかりと守ろうという世の中だからかも知れないが、そのために、便利な道具がどんどん開発されているような気がする。そして、道具に拘りを持つ男達は、我れ関せずと悠長に原点を守ろうとする。

 おろし金で大根をおろしている男達は、その仕事の速い遅いという効率などは全く気にしていない。むしろ、大根をおろすという行為の中に、他人には信じられないような夢の広がりと男の浪漫とを同居させていて、更にそれを発展させようと必死になっている。

 結果として、きめの細やかな、なめらかで艶のある当に芸術的な大根おろしが完成しているのだが、いつ終わるのか想像もつかないこんな手仕事を続けることのできる道具を、拘りの男達は求めている。そんな時間が失われつつあることに憂いを感じながら・・・。


 ところで、暇なときには音楽でもやってみようというような男には、何故か拘りを持つ人が多いような気がする。家庭を仕事場とする主婦の場合には、毎日の家事全般に追われて、そんな悠長なことも言ってられないから、男達のそれが目立つのかも知れない。

 用が足りればいいからという発想しかない場合には、音楽に拘ってみようという気にもならないのだが、 “どうせ音楽をやるのならばきちんとレッスンに通って” というようなそんな原点からの発想を、音楽でもやってみようという男達は持ち合わせているようだ。

 女性が忙し過ぎる世の中だからかも知れないし、男女平等を守ろうという世の中だからかも知れないが、文明の最先端をいくような道具の数々がどんどん開発されているのに、音楽することに拘りを持つ男達は、ついつい周りから時代遅れの人間と思われてしまう。

 最先端をいく道具を目の前にしても、男達はその仕事の速い遅いという効率などは全く気にしていない。むしろ、音楽するという行為の中に、他人には信じられないような夢の広がりと男の浪漫とを同居させていて、更にそれを発展させようと必死になっている。

 結果として、きめの細やかな、なめらかで艶のある当に芸術的な人生哲学が完成しているのだが、いつ終わるのか想像もつかないこんな手仕事を続けることのできる音楽を、拘りの男達は求めている。そんな時間が失われつつあることに憂いを感じながら・・・。
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