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季刊誌「ムラマツ」に掲載されたエッセイをご紹介いたします。
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エッセイ「フルートで料理」 ESSAY
文:齋藤賀雄(元読売日本交響楽団フルート奏者 東京音楽大学教授)
画:おおのまもる(元読売日本交響楽団オーボエ奏者)
18 「だし」
 急いでいても、ちょっと面倒だなと思っても、だしだけは大切にしたい。だしを忘れた料理ほど間の抜けたものはないが、慌ててどんな調味料を使ってみても、その料埋の旨味は、もう復活しない。それほど、だしは、料理をする上で重要な位置を占めている。

 中華鍋で熱く熱した少量の油に塩を一つまみ入れ、水を一気に差してワ力メを放り込んで胡椒を一振りし、刻みねぎを散らすだけで、結構うまいインスタント中華スープが出来上がる。急いでいる時でも、この程度のことはできる。

 だしの材料として色々なものがあるが、昆布はその最も代表的なものであろう。こだわる蕎麦屋では、掛け蕎麦のつゆと盛り蕎麦のつゆのだしを、同じ昆布を使うにしても、利尻と日高という具合に使い分けているという話を耳にしたことがある。

 味噌汁のだしも、そう簡単ではない。味噌には、黒、赤、白、そして最も一般的な信州味噌などがあって、さらにその原料も、米や麦という具合に豊富だが、例えば、黒味噌の場合には、昆布や鰹だしよりも、かえって雑魚のようなものの方が相性が良い。

 勿論、だしさえ良ければそれでよしという訳にはいかないが、どんなだしをどういう割合で、どんな料理に使うかということを、即座に吟味できる経験が必要だ。自分の味の主張を、大勢の人達に認めてもらうということは、並大抵のことではないと思う。


 ところで、どんなに簡単な楽譜でも、フレーズだけは大切にしたい。フレーズが曖昧な音楽ほど間の抜けたものはないが、この場合には、どんなに音楽的に演奏しようとしても、その音楽の魅力は復活しない、それほど、フレーズは音楽の中で重要な位置を占める。

 ヘンデルのソナタなどのような初見でも演奏可能な曲の場合にも、決して手間を惜しまずに、ちょっと頭を使ってみると、ただ何となく音を並べてしまった演奏よりも、熟慮が必要な細かい部分は別として、全体としては、数等説得力のある音楽が出来上がる。

 フレーズを云々するためには様々な時代の音楽のスタイルを弁えなければならないが、その基礎となるのは、古典までの音楽であろう。ただ、一人の作曲家の作品でも、初期から晩年までの間には、必ず微妙なスタイルの変化がある筈だから、要注意だ。

 万人が愛するモーツァルトの音楽のフレーズ感も、今の時代に生きる我々にとっては複雑なようだ。三百年以上の歴史を持つ西洋音楽の、全ての時代の音楽を耳にしてしまっている現代人にとって、その、微妙な変化を意識することは、大変な作業となってしまう。

 勿論、フレーズがきちんとしていればそれでよしという訳ではない。時代の様式感を保ちながら、フレーズを的確に意識していくためには、かなりの音楽的体験が必要かも知れない。自分の主張を大勢の人達に認めてもらうことは、並大抵のことではないと思う。
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