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季刊誌「ムラマツ」に掲載されたエッセイをご紹介いたします。
トップページエッセイ「フルートで料理」 > 24.包丁
エッセイ「フルートで料理」 ESSAY
文:齋藤賀雄(元読売日本交響楽団フルート奏者 東京音楽大学教授)
画:おおのまもる(元読売日本交響楽団オーボエ奏者)
24 「包丁」
 実際に料理をやってみようと思ったときの第一段階は、包丁を手に入れることから始まるのかもしれない。けれども、料理の用途にあった包丁を的確に選び出すためには、ある程度の料理に対する知識も必要なようだ。料理が先か、包丁か先か、難しいところだ。

 食材を切るということだけを考えて、菜切包丁とか、魚の出刃包丁とか、肉の牛刀とかの区別をしないで気楽に使える文化包丁というものがある時期から流行り始めたが、万能ということは、逆に言えば、料理人を堕落させてしまうような気がする。

 せっかく手に入れた包丁も、手入れが悪いと瞬く間に切れ味が落ちてしまうから恐ろしい。刺身を押し切りにしたり、野菜の繊維を押しつぶすようでは、食材の旨味が台なしになってしまう。料理人が包丁研ぎの技を覚えなければならないのは、そのためである。

 包丁の相方としてまな板というものがあるが、これも料理の文化を分ける重要な位置を占めていると思う。まな板を使う習憤のない国の料理では、ナイフを使うことが多いようだが、食材を繊細に切り分けることによる料理の繊細さの基本はここにある。

 日本の包丁の文化は、そのまま日本料理の文化といっても過言ではない。包丁さばきの魅力は、その仕上がりが美しいだけてはなく、料埋人の心の内を垣間見ることができるので嬉しい。繊細な昧付けが必要とされるのも、料理における包丁の役割が大きいからだ。


 ところで、実際にフルートをやろうと思ったときの第一段階は、楽器を手に入れることから始まる。けれども、自分の用途にあった楽器を的確に選び出すためには、ある程度のフルートに対する知識も必要なようだ。吹くことが先か、楽器が先か、難しいところだ。

 音を出すということだけを考えて、楽器の材質や機能、音色の違いなどの区別をしないで簡単に吹きこなせる機種の楽器というものがある時期から流行り始めたが、万能ということは、逆に言えは、吹き手を堕落させてしまうような気がする。

 せっかく手に入れた楽器も、手入れや扱いが悪いと瞬く間に性能が落ちてしまうから恐ろしい。無理矢理に鳴らそうとしたり、指に力を入れたりするようでは、音色が台なしになってしまう。吹き手が基本的な奏法を覚えなければならないのは、そのためである。

 フルートの相方として人間の息というものがあるが、これも楽器の文化を分ける重要な位置を占めていると思う。自分の息を見つめる習慣なしにただ吹き込もうとする人も多いようだが、楽器を繊細に吹き分けることによるフルートの繊細さの基本はここにある。

 日本のフルートという楽器の文化は、そのまま日本の音楽界の文化といっても過言ではない。フルートの魅力は運指の見事さだけではなく、吹き手の心の内を垣間見ることができて嬉しい。繊細な選択が必要とされるのも演奏における楽器の役割が大きいからだ。
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