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季刊誌「ムラマツ」に掲載されたエッセイをご紹介いたします。
トップページエッセイ「フルートで料理」 > 28.おわりに
エッセイ「フルートで料理」 ESSAY
文:齋藤賀雄(元読売日本交響楽団フルート奏者 東京音楽大学教授)
画:おおのまもる(元読売日本交響楽団オーボエ奏者)
28 「おわりに」
 気に入った食材を探して献立を決め、調理して料理を完成させていくという過程には、想像では考えられない複雑なことが存在する。料理に長年の修行や勘が必要とされるのは、理屈だけでは割り切れないものが、その過程に隠されているからだ。

 そんな料理人たちの修行や勘に対して、敢えて我々素人が挑戦してみようとするのは、 “食べる” という人間の欲の一つである行為を、決して空腹を満たすということだけに終らせないで、自らも調理することによって、もっと愉しみたいと考えるからに違いない。

 料理を作る過程を自ら楽しみ、出来上がった料理を美昧しく食べようとすることが、如何に人間の生活を豊かにしてくれるかということを、もう一度よく考えてみたい。最近、食事をすることの本質的な大切さが忘れかけられいるような気がしてならない。

 最後のデザートまでもが充分に配慮された献立を楽しむという、そんな至福な時間を過ごしたいと思うが、残念ながらそういう愉しみ方を教えてくれる料理人は少ない。デザートの一品で思わず感嘆の声を上げてしまうとき、初めて料理の奥深さを知る。

 だから、料理人がデザートの一品にまで命をかけるのは当然のことなのだと思う。料理人のその日の献立と技とがこの瞬間に花開くのだから、この最後の一品で、さらに客を唸らせることが可能になるのであろう。そういう料理人に、もっともっと会いたい。


 ところで、気に入った曲を探して曲目を決め、練習して演奏会を作り上げていくという過程には、想像では考えられない複雑なことが存在する。演奏に長年の練習やセンスが必要とされるのは、理屈だけでは割り切れないものが、その過程に隠されているからだ。

 そんな演奏家たちの練習やセンスに対して、敢えて一般愛好家たちが挑戦してみようとするのは、 “音楽を楽しむ” という人間の欲の一つである行為を、決して聞くだけに終わらないで、自らも演奏することによって、もっと愉しみたいと考えるからに違いない。

 練習する過程を自ら楽しみ、出来上がった曲を上手に演奏してみようとすることが、如何に人間の生活を豊かにしてくれるかということを、もう一度よく考えてみたい。最近、音楽することの本質的な大切さが忘れかけられているような気がしてならない。

 最後のアンコール曲までもが充分に配慮された演奏会を愉しむという、そんな至福な時間を過ごしたいと思うが、残念ながらそういう愉しみ方を与えてくれる演奏家は少ない。アンコールの一曲に思わず感嘆の声を上げてしまうとき、初めて音楽の奥深さを知る。

 だから、演奏家がアンコールの一曲にまで命をかけるのは当然のことなのだと思う。演奏家のその日の曲目と技がこの瞬間に花開くのだから、この最後の一曲で、更に聴衆を唸らせることが可能になるのであろう。そういう演奏家に、もっともっと会いたい。
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