は
じ め に
昔の男は、何事があっても決して台所に足を踏み入れることはなかったという。台所のことをお勝手と呼ぶのも、その昔、男に対して絶対服従だった女性が唯一自分勝手に振る舞うことのできる場所だったからだということを聞いたことがある。
ところが、今は違っている。テレビにも男の料理という番組が登場したし、男が料理人を務める料理番組も結構多い。昔と違って、一般家庭では台所に入らない男性の方が少なくなってきたような気がする。
必要に迫られて台所に立つ場合と、全くの趣味として台所に立つ場合と、或はその両方を兼てという具合に、男が台所に立つケースが多くなればなるほど、そこには趣味という範囲を超えて、何かもっと切羽詰まったようなものを感じることが多い。
こんなことを言うと女性に叱られてしまいそうだが、本来料理という類のものは、女性よりも男性に向いていると思う。車の運転がどうも女性に向いていないような気がするという、あんな感じが何処かにあるのだ。
自分のことを振り返ってみると、単純に独り暮らしをした時に、飯を食うという行為を全うするために無知で強引な料理が始まった訳で、どちらかと言えば、必要に迫られて始めたものが次第に趣味として生き残ったのである。 |
|