想
像 か ら 創 造
冷蔵庫の扉を開けて、中身を調べる。以前、主役として活躍した材料が、あの華々しい頃がまるで嘘のように、奥の方でひっそりと眠っている。思い掛けない物に出くわして、逆にこちらがびっくりすることも多いが、楽しい一時である。
過去に華々しく大活躍をしたこれらの主役達を集めて、その功績を称えつつ、改めて最後の一花をもう一度咲かせてあげようと、取り出した物をテーブルの上に並べて眺めながら、暫く策を練る。他人にとっては短いかも知れないが、自分では結構長く感じる。
まな板の上では、過去の主役が脇役に、脇役が主役になったりして刻まれていく。刻まれながら、その役目を決められていく物もある。料理として盛りつけられた姿は、この段階で既にもう決められているし、当然、大雑把な味つけの方向も決定している。
流石に何れ劣らぬ過去の主役達だ。一つ鍋の中で大人しくしている訳がない。夫々が主義主張を誇示したがるのを宥め賺しつつ、新しい一つの味にしていくためには、逆に、自分の頭の中で決定していた方向を大きく変更しなければならなくなることもある。
どの段階で変更を決心するかは難しいが、結局、素人料理は、自分の想像した物に向いながら、この戦いに一つ一つ勝ち抜いていくところに、その妙趣があるような気がする。そして、想像から創造に移行出来るかどうかが、この妙趣にかかっているのだろう。 |
|