バ
リ エ ー シ ョ ン
料理の味は、その素材の善し悪しで決まると言っても過言ではない。カウンター越しに目にするその食材が、明らかに素晴らしい物であることは分かっても、料理人が、それをどれだけ努力をし、奔走して手に入れてきたかということは、唯々想像するしかない。
便利な世の中になったからといっても、毎日決まったところから配達される物では、どうしても自分の思っている物とは違うという拘りが料理人にはあるようだ。同じところから出た物であるかも知れないが、自分の目で確かめたいという辺りの拘りが面白い。
メニューを決めるのが先か、その日手に入れた食材からメニューを決めることになるのかといえば、私のような、素人料理の場合には絶対に後者が当てはまるし、料理人自らその日の献立を筆でしたためるような超高級料理店の場合にも、おそらく後者であろう。
他人にとってはどうであれ、自分で満足して手に入れた物は、それが高級品であるかないかということには全く関係なく、自分の頭の中で、どんどん料理が進んでいく。素人料理の場合には、それを食べさせる相手の顔までが、その料理の手順の中に浮かんでくる。
とんでもないアイディアが閃いた瞬間、料理人は密かにほくそ笑む。その瞬間から、今度は、それを現実にするための苦悶と格闘が始まる。いよいよ、料理人が技を発揮させるときである。料理の基本を忠実に守りながら、新しい物を生み出す瞬間。 |
|