酒
の 肴
味覚というのは不思議なもので、料理の味そのものに加えて、その味が生まれるまでの過程も、同時に判断するようだ。極端な言い方をするならば、その料理と、その料理の味が生まれるまでの料理人の心理も、同時に味わっているような気がする。
プロの手による料理は何でも旨いかと言えば、案外そうとも限らない。街のレストラン然り、小料理屋然り、居酒屋然りである。寧ろ、余所の家に招かれたときに持て成してくれる素人家庭料理の気取らない一品は、例外なく、滅法旨いと思う。
「食文化」 とまでは大袈裟に言わなくても、食べるということにそれほど関心を示さない人達が結構多くなってしまったようで、これは、悲しい。人間の生活の中で、
『食』 の重要さは忘れたくない。酒を好む自分としては、特に、酒の肴には拘りたい。
旨い肴を食べたいから酒も飲むのだと言うと、それは逆だと反論されてしまうかも知れないが、本来、男料理や素人料理の類は、自分で旨い酒の肴を作ろうと努力するところから始まっているのだ。当然、酒にうるさい奴は肴にもうるさい。そして、その逆もある。
プロが作っても、素人が作っても、旨いものは旨い。特に、酒の肴のようなものには、料理人の心や雰囲気がある。料理人の心を探り、雰囲気を楽しみながら、酒と肴をゆっくり愉しむことができるという、そんな余裕と、そんな店を、是非大切にしたい。 |
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