名
前 の な い 料 理
家庭料理の殆どは、ジャンル別にすれば、炒め物、揚げ物、煮物、焼物などといった中のどれかに属するから、そのジャンルの呼び方がそのまま料理名となっていて、フランス料理などでよく見かける、その一品を説明するために付けられる特別な名前はない。
有難そうな名前が付けられていると、如何にも手抜きのない凝った料理のように思えるから面白い。 “キャベツの芯のピクルス 鰯のマリネ添え” と仰々しく書いておけば、普段なら捨てられる運命にあるキャベツの芯も、堂々と主役を演ずることができるのだ。
名前の有無に拘らず、旨い料理を作るためには、当然、料理の基本が必要となる。だしの取り方や調味料の匙加減、火加減のタイミングといった基本的なことは、実際に体験しながら失敗を重ね、その失敗を活かすことによって、初めて基本として認識される。
味は不思議なもので、体調や気分が大きく影響を及ぼすことでも分かる通り、大変誤魔化され易いものだと思う。甘い辛いを例にとっても、夫々が独立することなく、
“互いに影響を与えながら一つの味を形成していく匙加減” というコントロ−ルが必要になる。
名前のない料理の場合には、 “調理途中での路線変更可” という大きな魅力がある。匙加減と火加減とによって刻々と変化していく様の観察こそが、料理することの楽しみなのだということが理解できる人ほど、料理の基本を認識しようとしている人達だと思う。 |
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