調
味 料
今でこそ調味料売り場の棚には、使ったことのないものまで含めて、数多くの調味料がずらりと並んでいるが、一昔前には考えられない光景だった。料理の種類が少なかったこともあって、各家庭の台所には、塩、味噌、醤油、酢くらいがあれば充分だった。
朝は、納豆に味噌汁、昼は、うどん、夜は、せいぜい焼魚や菜っ葉のお浸しが付いて、さらに毎食、糠味噌漬を食卓に並べたとしても、他にどんな調昧料が入り用だったのだろうか? 小さな卓袱台を5人家族で囲んでも、お皿は十分に並べることができた。
朝は、時間が惜しいからといってパン食が主流となり、昼は、外食産業に頼ったとしても、夜に、西洋風料理あり中華風料理あり、さらに自家製創作料理ありとなってくると、知らない間に、各家庭の台所の調味料棚は様々な調味料でひしめき合っている。
蓋が開かなくなってしまったり、中が固まってしまったり、何かの時に使って、その後まったく日の目を見ないまま優に数年は経ってしまった調味料が、順番に棚の端に追いやられているという様は、料理のためというよりも、唯単に蒐集だったのかも知れない。
いい食材を手に入れる努カさえ惜しまなければ、余計な調味料は逆に要らないような気がする。いい食材にはその食材自体の旨味があるのだから、その食材の本来の味を楽しむようにすればいいのだ。その分、昔からあった数少ない調味料だけには拘りを持ちたい。 |
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