私は高校を卒業してすぐにパリに留学しました。最初の先生は、パリ・オペラ座管弦楽団の首席奏者であるクロード・ルフェーブル先生でした。先生は、フレーズの最初から最後まで、一音一音よく聴いて丁寧に演奏することを教えてくださいました。パリ国立高等音楽院では4年間、ソフィー・シェリエ先生のクラスで勉強しました。先生は現代音楽を中心に演奏する、アンサンブル・アンテンコンテンポランのフルート奏者です。お得意の現代音楽の奏法はもちろん、美しい音色で演奏するための基本的なテクニック、また体の使い方や自分の演奏を客観的に聴いて演奏することを教えていただきました。オーケストラスタディーや基礎練習はパリ管弦楽団の首席奏者でシェリエ先生のアシスタントであるヴァンサン・リュカ先生にレッスンを受講し、実際にパリ管弦楽団で演奏する機会もいただきました。その後も、フランスの様々なオーケストラと共演しましたが、体中がオーケストラの音に包まれ、その中でフルートを吹いたときの感動は忘れられません。
また室内楽の授業ではフィリップ・ベルノルド先生やミッシェル・モラゲス先生のもとで、木管五重奏やチェロとピアノのトリオ、弦楽器とのアンサンブルを勉強しました。フルートという楽器から離れて、共演者の音を聴く事や、どの様にしたら良い音楽の流れを作ることが出来るかなど、演奏する上での実践的な事を学びました。
その他パリ音楽院在学中、学外でもいろいろなコンサートで演奏する機会がありましたが、特にルツェルン音楽祭に参加しP.ブーレーズ氏の指揮で演奏できたことは印象に残っています。ブーレーズ氏の全ての音に妥協を許さない厳しさと、集中力を目の当たりにして身が引き締まる思いで演奏しました。
パリ留学で様々な経験をし、フルートを吹く楽しさや、自分の心で感じた事を表現して人と繋がる喜びや感動を知り、益々フルートが好きになりました。私が出会った先生方や同じクラスの仲間に共通していたのは、音楽とフルートを愛する心を持ち、美しい音を出すことへの深い探究心を常に持っていた事です。
クリスチャン・ラルデ先生は『百万のテクニックより一粒の美しい音色を追求しなさい』とおっしゃいました。

パリで学んだ事が皆さんのフルート上達のお役に立てたら嬉しいです。