<碧い月の神話>
作曲者の石毛里佳氏は千葉県出身で、これまでに作曲を尾高惇忠、宮本良樹、佐藤博の各氏に師事しています。東京藝術大学在学中より吹奏楽作品やアンサンブル作品を多く作曲し、出版・録音されています。『碧い月の神話』は、フルートの響きを活かした短い3楽章で構成されています。
第1楽章 Allegro シンコペーションを用いたフレーズがスピード感豊かに響きます。
第2楽章 Allegretto 美しくまた憂いを感じさせる情緒豊かな音楽です。
第3楽章 Rubato-Vivace 3rdフルートによる和調なカデンツァからスタートし、重なり合うハーモニーののち、急にテンポが変化します。エネルギッシュに駆け抜けるVivaceは緊張感が途切れることなく、一気に終息します。
<演奏ポイント>
3楽章構成の作品ですが、各曲が短く、音楽もあっという間に展開していきますので、メリハリのある演奏を意識しましょう。
第1楽章では、裏拍から始まるシンコペーションを用いた旋律をしっかり活かしましょう。タンギングは舌だけに頼りすぎず、スピード感を持って、また四分音符は間延びしないよう気を付けてください。第2楽章では、出だしの2ndのメロディーが中音域で始まるので、伴奏に埋もれないように。伴奏で動く連符がハーモニーを表していますので、和声進行に合わせた音色の変化を出せると雰囲気作りに役立ちます。第3楽章の冒頭カデンツァは、思い切って自由さを出しましょう。ヴィヴァーチェからは、3連符の伴奏の受け渡しの際、スピード感が失われやすいので、つながりを意識してみてください。全体の集中力を切らさないよう一気に駆け抜けるような息の流れが大切です。 |