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作曲家であり指揮者でもあったH.トマジ(1901−1971)は、コルシカ島出身の両親のもと、マルセイユで生まれた。パリ国立高等学校・舞踊学校で、V.ダンディ、G.コサード及び、Ph.ゴーベールらに師事。1927年にはローマ賞作曲部門1位、指揮部門1位を獲得した。 作品は交響曲や歌曲、バレエやオペラ等、100曲を超えるが、彼の創作の原点は地中海と言っても過言ではなく、この『3つの牧歌』もまた、地中海と関わりの深い地名が各楽章に付けられている。 [第1楽章] 南米、ペルーとボリヴィアの境にあるチチカカ湖では農業が盛んであった。農夫の鼻歌のような陽気さを持った「ボリヴィア」。 [第2楽章] ヨーロッパ最古の地として有名な「クレタ島」は、勇者テセウスがミノタウロスを倒した伝説のクノッソス宮殿他、島の至る所にミノア文明に始まる繁栄を見て取れるギリシャ最大の島。古代への賛歌と言える。 [第3楽章] イタリア半島の南・地中海のほぼ中央に位置する「シチリア島」。この曲の形式〈サルタレッロ〉とはイタリア舞曲の総称で《小さな跳躍》との意がある。急速なジャンプを含む陽気な踊りで軽快に幕を閉じる。 〜演奏のポイント〜 3人揃った動きがとても多いので、フレーズの流れや着地点をよく話し合いました。タイの長さには特に注意が必要です。古代ギリシャの音楽やサルタレッロのダンスや楽曲などを曲作りの参考にし、単調にならないように、歌い込むところではテンポを自由に動かして演奏しています。 |