解説
ベートーヴェンのセレナーデといえば、「フルート、ヴァイオリン、ヴィオラのためのセレナーデ ニ長調」作品25をフルートとピアノ版に編曲した作品41が思い浮かびますが、このセレナーデの原曲は「弦楽トリオによるセレナーデ」作品8です。作品41の方はベートーヴェン自身が目を通したとされており、フルートのパートは原曲と同じですが、こちらの「弦楽トリオ」をフルートとピアノ用に編曲したのは、19世紀のフルーティストT.べームなので、かなりべームの自由な考えによりまとめられています。第1楽章 行進曲、第2楽章 Adagio、第3楽章 メヌエットAllegretto(原曲のコーダはカット)。原曲では次の楽章との間にAdagioの楽章がある。第4楽章 ポロネーズ(原曲第43小節までカット)、第5楽章 主題と変奏は主題と原曲の第1変奏、第3変奏はそのまま使われていますが、最後の変奏はべーム自身の創作です。原曲では、第1楽章に戻りますが、べーム編曲ではそのまま終わってしまいます。フルートの独奏曲になって終わるので、原曲を知っているひとにとっては、大きな驚きでしょう。19世紀の編曲の文化を伝える作品として位置づけられます。(解説/三上明子)ニュース
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