解説
ドゥメルスマンは19世紀半ば、パリで活躍した名フルーティストでした。彼は「フルートのサラサーテ」と称され、33年の短い生涯にたくさんのフルート曲を作曲しました。ベルギー、オランダ、フランス国境近くのHondschooteという町で生まれ、11歳でパリに移りパリ音楽院に入学。テュルーに教えを受けますが、早くも翌年には1等賞を授けられています。彼は旧式の円錐管フルートに固執していたので、パリ音楽院のテュルーの後任としては、ベーム式フルートをいち早く取り入れたドリュスが就任しました。ドゥメルスマンの演奏スタイルは力強さと繊細さを兼ね備えたヴィルトゥオーゾで、信じられないほど速いダブルタンギングだったと伝えられています。 「トレモロ」変奏曲の「トレモロ」は終盤にかけて続くダブルタンギングを表し、ドゥメルスマン自身の演奏を良く伝える曲と言えましょう。マエストーソの劇的な導入があり、主題はオペラの一場面を思わせるリリカルな歌い回し、軽やかな第1変奏、中間部のアダージョでは十分に音色の美質と表現を聴かせ、フィナーレではダブルタンギングで主題の変奏が華麗に奏されます。モイーズの師エヌバンによる演奏は19世紀の演奏スタイルを思い起こさせます。(解説/三上明子)ニュース
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