解説
ミケリスは19世紀後半にローマのアポロ劇場で活躍したフルーティストで、聖チェチーリア音楽院で教鞭を執り、G.ガリボルディ、L.ユーグ等と共にイタリアのフルート新時代を開拓しました。彼の作品の殆どは歌劇の主題を題材にした独奏曲で、重奏曲は、四重奏曲「ノットゥルノ Op.37」と、この「テルツェッティーノ」のみが残されています。共に単一楽章の清楚なサロン小品で、美しいセレナードに仕上がっています。1882年頃出版されたこの曲は、アマチュア笛吹き3友人(U.Grant, F.Alvarez, G.Piacentini)に献呈され、意味ありげな「将来(未来)?」という題が付けられています。未来に向かう友人達の姿を捉え、この音楽に映したのかもしれません。曲は緩−急の2部分からなり、前半の前奏Andantinoは寂しげに、また緊迫感を持って始まり、哀愁の序奏部の主題が奏でられ、転調して軽やかな伴奏音形に乗って旋律が清楚に歌われます。後半のAllegrettoでは軽やかなリズムに乗って技巧的に主題が駆け巡ります。中間部のAllegro Brillanteでは少しの間ポロネーズ風舞曲が披露され曲に花を添えます。コーダpiù Vivoでは主題が再現され最後まで華麗に未来を演じます。(解説/佐野悦郎)ニュース
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