解説
リヒャルト・レスラーは、少し前までほとんど忘れられた作曲家でしたが、最近、フルート・ソナタ以外にもチェロ・ソナタやピアノ・トリオなど相次いで録音され、少し知られるようになってきました。ロシア帝国支配下のリガで楽長の息子として生まれたレスラーは、1897年から1901年にかけてベルリン王立音楽院でピアノと作曲を学びました。作曲法の師は、ブルッフです。在学中に院長のヨアヒムに指名されてピアノを教え始め、その後、教授となり、音楽理論も教えました。作曲の手法は、伝統を受け継ぐ保守的な様式です。フルート・ソナタは、1907年に出版。同じ音楽院で教えていたフルートの名手エミール・プリルに捧げられています。第1楽章 爽やかなフルートの第1主題がこの楽章の性格を表しています。巧みな転調をしつつ、元のホ長調に回帰します。第2楽章 ハ短調で、悲しみを表した楽章。表現力を必要とする楽章です。第3楽章 間奏曲。変イ長調に転じ、ハープのような音形の上で、心地よい歌を奏でます。第4楽章 この楽章のサプライズは、ドヴォルジャークのヴァイオリン協奏曲 第3楽章の主題が使われていることです。民俗舞踊のリズム感が、この楽章に活力を与えています。のびやかな歌や賑やかな展開を経て、più allegroのコーダで曲を閉じます。 (解説/三上明子)ニュース
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