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ヒンデミットは、作曲家としてだけではなく、指揮者、ヴィオラ奏者、教育者、理論家として音楽全般に渡って活躍した人でした。世界大戦を2回も経験し、ナチス政権の弾圧を受けて、アメリカへ渡った彼の生涯は、困難な局面が数多くあったと想像されます。この 「フルート・ソナタ」 が作られた1936年頃から晩年にかけて、ヒンデミットはオーケストラに含まれている楽器一つ一つにピアノ伴奏を付けたソナタを作曲しました。この時期の曲には若い頃の前衛的な性格は感じられず、むしろ、楽器の性格を知りつくした手堅い表現がみられます。「快活に動いて」 と記された第1楽章は、変ロ調のおおらかな流れを形づくる冒頭の主題、広い音域を駆け上がる軽快な主題、シンコペーションで始まる静かな主題などが次々と繰り出し、それぞれ拡大されて異なる調で反復されます。第2楽章は、「非常に遅く」 と指定され、静謐さを湛えたロ調の主題で始まります。中間に嬰ヘ長調の和音がppで奏され、数小節の対話の後、冒頭の主題が力強く反復されてクライマックスを形作ります。第3楽章 「非常に活発に」 は、タランテラ風の主題がロンドのように繰り返され、最後に 「行進曲」 として急速なコーダが全体をしめくくります。この曲は私にとって、一度耳にすると一週間くらいは頭の中でなにかの弾みに旋律の断片が鳴り響く不思議な力を持った曲です。(解説/三上明子)ニュース
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