解説
〈ヘ長調KV377(374e) 〉 モーツァルトは、1781年、ザルツブルクの大司教と訣別して、ウィーンで自由な音楽家としての生活を始め、生計を立てるためにピアノの弟子を教えたり、音楽会を催したり、作品を書いたりと多忙な日々を送りました。この曲が含まれるヴァイオリン・ソナタ 第2集はそのような中で出版されました。ピアノとヴァイオリン双方に高度な技術と表現を要求されるこの曲集は、当時から高い評価を得て、2挺のヴァイオリン、2本のフルートなど二重奏曲の編曲版が次々と出版されました。フルート・ソナタとして編曲されたこの版は、1825年、ハンブルクで出版。ピアノ・パートは同じですが、フルート・パートは当時の楽器でも演奏しやすいように変更されている箇所があります。例えば原曲では、第1楽章 Allegroを通して3連符が休みなく続けられることによってエネルギーを生み出す書法がとられていますが、編曲版では冒頭のフルート・パートの3連符を避け、主題を奏するピアノ・パートの3度上を受け持つようになっています。原典版にも当たって頂ければ幸いです。第2楽章 「主題と6つの変奏」 ニ短調に転じ、きわめて音楽的に深い内容を示しています。第3楽章 Tempo di Menuetto ヘ長調に回帰しますが、ただの明るさではなく不思議な世界に消えていくような終わり方です。ニュース
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