解説
この原曲は彼の「弦楽四重奏曲 第1番 変ホ長調 作品12(1829)」で、原曲に忠実な編曲ですが、調性は音域に配慮された「変ロ長調」です。この作品は彼がロンドン滞在中に書き上げ、ベートーヴェンの影響を強く受けた古典様式で書かれています。第1楽章はソナタ形式で、優美な各主題は境界が見え難く最後まで悠々と流れます。序奏部[B]は荘重な旋律線が綾をなし、第1主題[B]は幅広い旋律線が起伏し、続く第2主題[F]は下行旋律線に向け流れます。展開部では新たな副主題[Es]が現れ、コーダでも各主題が出揃います。第2楽章「カンツォネッタ」は三部形式で書かれ、哀愁の民謡風主題[d]が美しく、中間部[D]は無窮動動機が躍動します。第3楽章は三部形式で書かれた緩徐楽章[F]で、中間部は情熱的に躍動します。第4楽章は情熱的なサルタレッロ風主要主題[g]が激しく躍動し、間に挟まれる美しい挿入主題は第1楽章の各主題に類似した対照的な旋律線が幾度となく現れます。力強いファンファーレ主題のコーダでは第1楽章の各主題が回帰し、美を競い合います。(解説/佐野悦郎)ニュース
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