解説
初演の際には名作家ツルゲーネフも同席したとも伝えられる由緒ある作品、「弦楽四重奏曲 第1番 (1871)」を、原曲に忠実にフルート四重奏用に書き改めたものです。文豪トルストイが涙したと伝えられている名曲「アンダンテ・カンタービレ」はウクライナ民謡の「長椅子にすわり(Sider Vanya)」の旋律です。チャイコフスキーが1869年に妹の住むカメンカ村を訪れた際に聞いた歌で、この第2楽章に取り込みました。第1楽章 9/8 はソナタ形式で書かれ、第1主題 [D] は持続シンコペーション旋律の中から湧き上がるように美しい音階旋律が舞い上がり、各楽器に受け継がれます。第2主題 [A] は長閑な牧歌風旋律が豊かに踊ります。第2楽章 [B] 2/4 は前述通りのカンタービレ主題と、付点音符と三連符が舞う旋法的主題の2つの主題が交互に対話します。第3楽章 [d] 3/8 は複合三部形式、スケルツォ主題が力強く活発に躍動し、トリオ [B] では持続シンコペーション上に跳躍旋律が対話します。第4楽章はソナタ形式、第1主題 [D] は快活な行進曲風主題で、カノン風に交錯します。第2主題 [F] は小刻みな断片旋律が重なり合い、徐々に一体化した主題を形成していきます。(解説/佐野悦郎)ニュース
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