解説
原曲のピアノ協奏曲はバルトークがアメリカに亡命した生涯最後の年(1945)の春に着手され、その第2楽章は夏に完成し、第3楽章は9月まで書き続けられましたが、残念ながら最後17小節のオーケストレーションを残して彼はこの世を旅立ちました。第2楽章のレリジオーソとは「宗教的に」の意味で、バロックのオルガン前奏曲風の祈りのコラールは、フルート合奏にも最適です。この編曲作品と原曲総譜を照合すると、若干のリズムの変更、楽句の省略があるものの、ピアノ・パートまで全てをフルートが受け持ち、原曲にほぼ忠実な編曲がなされています。三部形式で、上声部から舞い降りる清らかな聖歌が美しく重なり合い、4度動機のコラール冒頭主題と逆行主題が対話しながら展開します。中間部ではトレモロの響きの中、天上からの美しい鳥の囀りが聞こえ、後半はコラール主題が再現し、その中を軽快なフガート主題や技巧的装飾音階が飛び交い、徐々に悲劇的な色調に変わり、最後は清らかな聖歌で静かな闇に消えます。(解説/佐野悦郎)ニュース
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