解説
H.M.グレースヴォルはオスロ音楽院でフルートと作曲を学んだノルウェーを代表する現代作曲家で、半音階的旋律を用いた神秘的な響きが特徴です。この四重奏曲 [4Fl.] (2010/2012) は現代的な響きを持つ音階旋律線の綾で書かれた3楽章構成の作品です。作曲家は「短2度、長2度、短3度、完全4度の各音程は旋律と和声の微妙な表現描写の構築に大変に重要な要素である」また「第1楽章の冒頭に現れる3音 [Ais-H-Gis] は動機の構築に重要であり、最初ばかりでなく、続く動き(楽章)にも大切である」と述べています。第1楽章 4/4 は前述通りの3音 [Ais-H-Gis] のソロ動機旋律が姿を変えて徐々に模倣を重ね2本、3本、4本と響きの束を形成します。これらの旋律線は終始一貫して模倣され、色彩変化し、リズムを変え、重なり合い、神秘的旋律の綾が絡み合います。第2楽章4/4の冒頭和音は [d-moll] の和声的旋律ですが、すぐさま半音階的旋律の綾が絡み合い、幻想的な神秘の響きと化します。第3楽章 6/8 は不思議な響きの分散和音の序奏から始まり、ロンド風の舞曲旋律が綾を成し軽妙な分散和音動機と戯れ、大空を飛翔する鳥の群れの如く、次々と姿と形を変化させていきます。(解説/佐野悦郎)ニュース
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