解説
フリューリンクは現在のウクライナ西部の町に生まれ、ウィーンでピアノと作曲を学びました。サラサーテやフーベルマンなどの伴奏を務め、100曲以上の作品を作曲しましたが、ナチスの支配下でユダヤ人ゆえに作品の大部分は出版されず、極貧のうちに亡くなりました。近年、イギリスの名チェリスト、スティーヴン・イッサーリスの尽力で、その存在が再認識されてきました。フルートとピアノのための「ファンタジー 作品55」もイッサーリスによってウィーンの図書館から発見されました。ロマン派の流れを汲む多彩な内容を持つ作品です。この作品は当初、オーケストラ伴奏で作曲されましたが、現在はピアノ伴奏版の楽譜のみが残っています。全体は切れ目なしの3楽章構成。第1楽章は16分音符の細やかな伴奏に乗って始まる幸福感あふれるフルートの調べとピアノのリズミックな部分の対比が効果的に扱われています。第2楽章は短調に転じ、陰影のある情感を描きます。第3楽章はフルートとピアノがユニゾンで輝かしい英雄的な動機を高らかに奏でて始められ、タフな展開を経て、夢のような第1楽章冒頭のパッセージが再現されて締めくくられます。(解説/三上明子)ニュース
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