解説
原曲は3楽章構成の《ピアノ五重奏曲 へ短調》(1878-9)です。国民音楽協会の演奏会で、サン=サーンスのピアノ、マルシック四重奏団の弦楽で初演されました(1880)。その第1、2楽章を木管六重奏に編曲した楽譜です。ピアノは原曲のまま、弦楽は管楽器に色彩豊かに振り分けられています。第1楽章 4/4 [f] は循環形式の自由なソナタ形式です。長い緩やかな序奏を持ち、冒頭の複付点音符の下行音階動機 [f] が曲全体を統一する第1の循環主題となり、ピアノの間奏に挟まれ幾重にも流れます。序奏主題は付点音符に変形し、半音階付点音符によるAllegro [f] 第1主題が生まれ、木管全体とピアノが交互に問答します。2つの5度跳躍音程を挟む穏やかな下行音階旋律の第2主題 [f] が第2の循環主題となります。第2楽章 12/8 (Lent) [a] は小刻みな和声伴奏上に転調を重ねる断片フレーズが感傷的に奏でられます。この冒頭の主要主題はピアノの半音階動機から副主題 [a] と重なりながら激しく動く伴奏上で対話を重ねて悲劇を語ります。第3楽章でこの副主題が第3の循環主題となりますが、この版では割愛されています。(解説/佐野悦郎)ニュース
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