解説
現代日本の代表的な作曲家のひとり、福島和夫は、独学で作曲を学び、特にフルートのための名作を多く書き続けてきました。その一連のフルート作品の流れの最初に書かれたのが「レクイエム(鎮魂歌)」です。 この曲は、9人の室内アンサンブルによる舞台作品〈オルフェ〉のプロローグとして1956年に作曲され、1959年に初演されました。単独に1曲の作品としては、1963年、ガッゼローニによってストックホルムで初演され、1965年、ツェルボーニ社より出版されました。 「レクイエム」は12音技法に基づいて作曲され、音列が形を変えて全7回出現します。シンプルなつくりですが、拍節を超えて変容する時間のとらえ方に、既にその後の創作の萌芽を見てとることができます。 〈作曲者のことば〉 1960年代の前半までの私の仕事は、ほとんどは「鎮魂歌」だといってもいい。戦乱のなかに少年期をもったことは、やはり重大なことだったと、いまにして思う。 鎮魂の二つの面、即ち“たま写り”と“たましずめ”の(うち)、私の鎮魂歌は後者の性格が強いというのも、そのことと関係があってのことであろう。(解説/三上明子)ニュース
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