オペラ座支配人と監督は代わりの歌手を探しますが、その代役もまた現職との契約上、いつ出演できるか分からない歌手ばかり。
それだけでも支配人が『アスカニオ』の公演に積極的ではないことは明白ですが、その背景には、先に公演を果たしたグノーのオペラ『ロミオとジュリエット』の会計処理のまずさから当座の資金繰りが行き詰り、任期中に自身の権威に傷がつくことを隠蔽する政治的思惑があったように感じます。