4月に入ったある日の朝のことです。
豪雨の後で水浸しになった広場で追いかけっこしていた女の子が転び泣いているところに、通りかかったフランス人とサン=サーンスが救助します。
女の子は何事もなかったかのように泣き止み、また追いかけっこに興じますが、フランス人は顔を上げ挨拶しようとしたそのとき、目を疑います。
なんと目の前に、その朝に読んだジュルナル・イリュストレ紙に掲載されている人物が居るではないですか! フランス人はポケットから新聞を差し出し、こんな高名な人物に出会えて光栄であることを伝えると、サン=サーンスはここに来た目的を密かに打ち明けますが、時を待たずして夜にはそのことが島中に知れ渡り、大騒ぎとなります。