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ウジューヌ・ボザ(1905〜1991)はニースで生まれたフランスの作曲者、指揮者です。1934年、「マルクーニ伝説」でローマ大賞を受賞しています。彼のフルート四重奏曲の作品は全部で3曲あり、まず最初に、この「夏山の一日」が発表されました。ボザは後のフランス近代フルート四重奏に多くの影響を及ぼしました。 [ 第1楽章 ] 「パストラール」 朝もやがかかる夏の高原に、美しい牧歌が遠くから聞こえ、夜がだんだんと明け始めます。朝の光りを感じて小鳥達が木々のざわめきを縫って歌い、小川のせせらぎがかすかに囁きます。清閑な郷の田園風景を描写しています。 [ 第2楽章 ] 「急流の淵にて」 上向き、下向きの急速な半音階によって、渓谷の清流が激しく岩にぶつかり砕け、渦をまいて流れる様を表現しています。この急速な半音階と共に鐘の音のパートが加わります。 [ 第3楽章 ] 「森の詩(歌)」 深い大森林は全てを包み込み、偉大でとても神秘的です。小鳥のさえずりや教会の鐘の響きがより一層静けさを引き立たせています。 [ 第4楽章 ] 「ロンド」 その森の奥の小さな広場で、楽しく戯れ踊るような軽快なロンドです。古典的なロンドが最後期に達して、夏山の一日は終わります。 <演奏のポイント> カステレードとボザは、同じフランス人ですが、ボザの方が約20年昔に生まれていることもあり、「笛吹きの休日」と比べると、やや土くさい情緒あふれる曲になっています。 冒頭からのフレーズはアーティキュレーションを大事にしつつ、大きなフレーズで演奏するように心掛けましょう。 また全楽章を通して、各パートのつながりがとても大切ですので、全体のバランスを考えて強弱をつけるけると幅広い表現が出来ると思います。 3楽章は楽譜にとらわれず、神秘的な表現で全体を包み込むような演奏を目指してください。 出だしは、1stのソロの雰囲気で全てが決まるといっても過言ではありません。 1stは全パートを森の中へ導く柱となることを意識して演奏してみてください。 4楽章は重たくならず、テンポにのって楽譜どおりにしっかり吹けば、まとまった聴きやすい演奏になるでしょう。 テクニック等、指使いが難しい箇所が多々あり、フレーズも長めなので、ロングトーンや指回しの基礎練習をしっかり行っておきましょう。 |