❹口腔内の状態*

レッスン中「じゃあちょっと声を出してみましょう」というと多くの方が「いえ、私は歌は苦手で」とか「習ったことがないので」と仰います。自由自在に歌えないからこそ笛を吹いているのは私も同じですが、例えば空を飛びながらのびのびと数百メートル四方に鳴き声を響かせるカラスや、電車の中で赤ちゃんや幼児がお母さんに何かを訴える時の声を思い浮かべてみて下さい。カラスも赤ちゃんも大きさは私達の半分以下、特にカラスは特別頑張ってる様子すらありません。そして私達も全員かつて同じ種類の生き物だったはず(笑)!
つまり身体は本来やり方を知っているのに、現代社会で生きるために“知性”がストッパーをかけているのだと思います。“良く音を響かせたい”気持ち、きっとそれには深い深い意味があるのでしょう。

楽器の音がよく響く口の中を、声を出して探ります。

・“地声”(=無理のない音域)で、ハッハッハッと笑う時のように横隔膜を弾ませながら歌ってみる。

・その際、軟口蓋を持ち上げるように、同時に舌の付け根も下げるようにして口の中の奥の方を十分に拡げ、頭の中の、鼻の内側にあたるスペースに反響させ、その声の響きを良く聴いて、一番無理なく良く響く形を探す。


*脚注「口腔内の状態」 ー英語の発音から学ぶ
偶然、日本人の為の英語の発音の本に出会い、欧米人は普段から“声楽家が習う発声と息遣い”で生活していることを知りました。よりネイティヴな発音のために、お腹から声を出すこと、喉の奥を広げることが必須だったのです。西洋の楽器ですから当たり前と言えば当たり前でした。私達日本人は、そこもきちんと意識して習得するべきだと感じたのです。
※『英語発音、日本人でもここまで出来ます。~発声から変える川合メソッド』川合典子:著 (瀬谷出版)