●頭部管ストロー実験

数年前、M.ラリュー氏の演奏を間近で体験できる機会に恵まれました。音エネルギーが光に変わるような、まさに魔法の世界でした!なのにアンブシュアなどは極めてノーマル、特別な要素は全く無いように見受けられたのです。その日から息のスイートスポット探しは始まりました。ハリー・ポッターで言うところの“9と3/4番線”が存在するに違いない!
ところが、自分では色々試しているつもりでも同じようなところをウロウロしているだけ。そこである日、物理学者のエッセーからも刺激を受け、はるかに稚拙ですが私もストローを使って実験してみようと思い立って、まずやってみました。
・・・衝撃の事実発覚。音にならない―。その時の気持ちは、ちょっと書き表せません。「吹き出された息が適確に歌口の外側の角に当たるようにすれば音が出る」とアルテスの第1巻(フルートクラブ版)にありますが、とにかくこの日まで私は「息の中心はあくまでエッジに向かい、音に応じてその角度を変える」ものだと思っていました。慌てて歌口を半分指で塞いだりストローの先をつまんだり、長くなるので省略しますが、試行錯誤の結果、ストローはもっと水平にして、エッジではなく、そのすぐ下の壁のような部分に吹き付けると普段の様な音が出る!まだ今起きていることが信じられず、今度はリコーダーの歌口を見たり、家にあるテキストを片っ端からひっくり返したり。
すると、よく見ればいくつかの本には、ちゃんと矢印が“その部分”を指して載っていました。そのページの記憶はあるのに、思い込んで見ているから目に入っていなかった自分。今までサドルに半分腰掛けて“コレが自転車の漕ぎ方だ”と思っていたようなものですから、ちゃんと座り直しさえしたら!!“コロンブスの卵”どころか私的“新大陸発見”です!「今ごろ」という情けない気持ちなどかなぐり捨てて、自分の根強い古い習慣と戦いながら、フロンティア・スピリットで日々を過ごしています。“9と3/4番線”はきっとこの近くに!
そしてタイムリーなことに、ムラマツ・メンバーズ・クラブの季刊ムラマツ(152号)で、泉真由さんが、まさしくこのポイントを指摘しておられました!流石です。わかりやすい図も添えられていますので、まだの方は是非ご覧下さい 。