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ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師による
~おもひでの名曲~

Memories Of You

Vol.5 杉山 翼 先生

J.S.バッハ
フルート・ソナタ ホ長調 BWV1035

“おもひでの名曲”と聞かれ“これこそ我が人生の名曲っ!!!”なんて言える程の人生経験を積んできた訳でもありませんが、今まで印象に残っている作品(嬉しい、楽しいだけじゃなく苦い思い出など...)の中から今回はJ.S.バッハの「フルート・ソナタ ホ長調 BWV1035」をご紹介したいと思います。

バッハのフルート・ソナタは真、擬作全て含めて7つ作曲されており、このソナタは1741年に作曲されたと言われています。4楽章に分かれており一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
初めてバッハのこのソナタに触れたのは大学生の時でした。
上手くなりたい気持ちばかりが先行して、勢いの良さのみで吹いていたのを上手く形にして下さったのが大学時代の恩師である三上明子先生でした。

先生はバッハの音楽の成り立ちやパッセージへのアーティキュレーションなどを細かく説明して下さり、そして何より10代であった僕自身の良さを引き出してくれるようなレッスンをして下さいました。そのレッスンを受けて今まで敷居のすこーし高いイメージがあったバッハのソナタを、レッスン後は演奏するのがとても楽しくなったことを覚えています。
そして数年後、ドイツ留学を目指していた時のことです。ドイツの音楽大学は入学試験を受けるにあたり、事前にVorspiel(フォアシュピール)という大学の教授にお試しレッスンを受ける機会があるのですが、その時に入試で吹こうと思っていたこのソナタを持って行きました。

吹いてみたらビックリ!!!!
ダメ出しの嵐!!!!
一小節ごとに止められ、「ここはこの和声だからこうだろう!!!」「バロックだからロマンティックに寄りすぎるな!!!!」など1時間のレッスンで1楽章も終わらなかった記憶があります。
その時やその後の留学時代お世話になったフォルミザーノ先生のフレージングへの熱いこだわりと説明には面食らいましたが、全体を通してその通り先生が吹くと、説得力のある音楽が生まれ、その素晴らしさにひたすら圧倒されました。

無事入学後のレッスン中、先生の音楽へのアイデアやアプローチを直ぐに消化出来ず苦戦したことも多々ありましたが、
それをどうしても理解したくて、レッスンの後は図書館へ行き、録っておいたレッスンの録音を聴きながらパート譜とピアノ譜を鉛筆片手に睨めっこしていたこともいい思い出です。

常になまものである音楽は、過去に演奏したことのある曲を再び取り出しても新たな発見や喜びがあります。
(新たな課題もそりゃ盛りだくさん)
僕自身いままでの思い出と共に、そしてその思い出を更新していけるよう、これからもこのバッハのソナタをはじめ、様々な曲と触れ合っていこうと思います。

<楽譜のご案内>

楽譜ID:10255

フルート・ソナタ ホ長調 BWV1035

J.S.バッハ

出版社:HENLE

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SUGIYAMA TSUBASA
杉山 翼 先生 新宿教室 金曜日クラス 横浜教室 水・土曜日クラス

東京音楽大学付属高等学校を経て東京音楽大学卒業。ドイツ国立シュトゥットガルト芸術大学大学院修了。Stuttgarter Kammer Orchesterの一員としてRheingau Musik Festivalに出演。
これまで国内外のオーケストラや吹奏楽団に客演。
芸劇・ウインドオーケストラアカデミー第一期生修了。ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師。フルートを植村泰一、三上明子、ダヴィデ・フォルミザーノの諸氏に師事。

※プロフィールは、掲載時のものとなります。最新情報につきましては、こちらよりご確認ください。

Vol.6 大江 浩志 先生(次回掲載予定)