ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師による
~おもひでの名曲~
Memories Of YouVol.54 田畑 裕美 先生
W.F.バッハ
6つの二重奏曲より 第6番 ヘ短調
2016年に西田直孝先生と共演したW.F.バッハ《6つの二重奏曲より第6番》は、私にとってたくさんの学びと貴重な体験が詰まった一曲です。W.F.バッハは、その時まであまり触れる機会のない作曲家でした。西田先生は「素敵な曲だよね」とおっしゃっていたものの、当時の私は「へぇ、そうなんや~」と思っていたのが正直なところです。
生徒にとっては、先生と一緒に演奏することはやはり憧れです。
ただ、よほどの機会がない限り「そんな日が来ることはないだろうな…」と思っていました。
「きっと無理だろうな…」と思いながらも、思い切って共演をお願いしてみたところ、なんと先生が引き受けてくださり、夢だった共演が実現することになりました。
それまでW.F.バッハの魅力を十分に分からないまま過ごしてきましたが、せっかく先生と共演できるのだから、先生がおっしゃっていた「素敵な曲」の世界を体験してみたい。そして、新しい作品に挑戦することはこれからの自分の勉強にもきっとつながるに違いない。そんな思いからこのW.F.バッハ《6つの二重奏曲より第6番》を選びました。
この曲はW.F.バッハの作品の中でも特によく演奏される一曲で、3楽章からなる9分ほどの作品です。2人の音がまるで音楽を通して会話をしているような雰囲気を楽しめる曲だと思います。
練習では先生の温かく、そして美しい音色に少しでも近づきたい!という思いで取り組んでいました。でも、なかなかその世界には近づけず「本番は大丈夫かな」と、いろいろなことを考えては不安になっていました。
恩師の西田直孝先生と
ところが、本番になるとそんな不安もすっかり忘れてしまうほど音楽に入り込むことができました。緊張しながらも、先生からフレーズを引き継ぎ、互いの音がうまく絡み合いながら、一つの音楽として流れていくことがとても幸せでした。2楽章では、メロディーを交互に演奏するのですが、時折、二人の音が重なり合う瞬間があり、その美しさがとても印象的でした。先生と音で会話をしているような感覚を味わいながら、心から演奏を楽しむことができ、私一人では見ることのできない世界を体感することができました。
西田直孝先生の音楽を、いろいろな角度から間近で体験することができたあの時間は、今振り返っても、本当に幸せなひとときだったと思います。この曲を聴くと10年前のあの日の音や空気、そして先生と音楽を通して対話した時間がよみがえってきます。
<楽譜のご案内>
TABATA HIROMI田畑 裕美 先生 /大阪教室 金曜日クラス
大阪府立夕陽丘高校音楽科を経て、神戸女学院大学音楽学部音楽学科器楽専攻を卒業。卒業後、ウィーンとドイツにて研鑽を積む。草津夏期国際音楽アカデミーにて、A.ニコレ、W.シュルツ両氏のレッスンを受講。これまでにフルートを福田七枝、板垣立子、五十嵐香美、岡晢子、西田直孝、G.パス=ファン・リートの諸氏に、ボディーマッピングを長井芽乃氏に師事。E.クランバウアー、F.レングリ、A.リーバークネヒト諸氏の指導を受ける。
2014年3月、関西フィルハーモニー管弦楽団と共演。同年9月、初のソロリサイタルを開催し、以降、毎年大阪にて開催を続けている。ソロ活動の他に、ヴァイオリンや箏、マリンバとのアンサンブルも積極的に行っている。西宮音楽協会会員。ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師。
※プロフィールは、掲載時のものとなります。最新情報につきましては、こちらよりご確認ください。


