[訳注] ヴィシー・グラン・カジノ管弦楽団
ヴィシーはフランス中南部、オーベルニュ地方の都市。1860年代のナポレオン三世による開発により大湯治場となり、その際大規模な(グラン)カジノも建造された。当時のカジノとは上流階級の紳士淑女が集う社交場の一つであり、建物もそれに相応しい宮殿風のもので、1903年にはオペラ劇場が併設された。(モナコのカジノが現在も残る代表例。)1940年のフランス敗北により、パリを含む北部がドイツ占領地域、南部がヴィシーを首都としたフランスとなり、ヴィシー政権と呼ばれる。ベル=エポックの社交界の時代、ヴィシー政権の首都の時代と戦後のまだその名残があった華やかな時代、当然当地のオーケストラには当時のフランスの一流奏者が集まった。