マルセル・モイーズ(1889-1984)は、フルーティストのために多くのエチュードを残してくれました。おそらく一番初めに思いつくものは『ソノリテ』ではないでしょうか。その他ですと、モイーズオリジナルの『24の旋律的小練習曲と変奏』『25の旋律的小練習曲と変奏』『480の音階と分散和音の練習』『日課練習』などは、多くの方が練習するエチュードだと思います。
今回ご紹介するTONE DEVELOPMENTは、『480』や『日課練習』のような規則的な技術練習ではなく、『ソノリテ』に通じるエチュードです。
ヴェルディの「椿姫」やドニゼッティの「ランメルモールのルチア」、ビゼーの「カルメン」、マスネの「マノン」など、オペラのアリアなどを中心に美しい旋律の小品が90曲収められています。
その90曲がそれぞれ以下の音域やダイナミクスによりA〜Hの項目に分けられ、その中にピアノ伴奏がついているものが8曲入っています。モイーズはクライマー、ケッスラー、ツェルニー、ショパンなどピアノ曲や、クロイツァー、ヴィエニャフスキーなどヴァイオリンのエチュードを用いたフルート用エチュードの編曲からも分かるように、フルートという枠にとらわれず、様々な器楽曲、また、自身の演奏家時代の経験から、オペラにも深く精通しています。
このエチュードですが、モイーズの『私のフルート論』(ID:12154)と一緒にお使いいただくと、更に理解が深まると思います。『私のフルート論』の実践と応用練習曲集と言っても良いかも知れません。このエチュードから、モイーズの偉大さを改めて知り、また、音楽の美しさに感動する心に出会えるでしょう。
A.Register:low/Dynamic:soft(p.pp)
B.Register:low/Dynamic:loud(f.ff)
C.Register:low/Diversified expression
D.Register:high/Suppleness(p.pp)
E.Register:low to middle Suppleness,delicacy and color variation
F.All three registers Fullness of tone
G.All three registers Diversified expression
H.Interpretation of classical pieces
【ピアノ伴奏付き小品】
●メサジェ/フォルチュニオ/●ドリーブ/ラクメ/●ビゼー/アルルの女 Adagio/●ヴェルディ/イル・トロヴァトーレ/●マスネ/ウェルテル(2曲)/●ブリュノー/水車小屋への襲撃/●ドニゼッティ/ドン・パスクァーレ(2Fl/Pf)/●J.S.バッハ/ヴァイオリン・ソナタ BWV1015 第3楽章
(U)
収録曲の一部をご紹介します。
ベートーヴェン/交響曲 第6番「田園」 第3楽章より
ヴェルディ/オペラ「仮面舞踏会」 第2幕 プレリュードより
J.S.バッハ/パルティータ(BWV1013)より
ビゼー/「アルルの女」メヌエットより
フランク/ソナタ 第1楽章 第1主題より
モーツァルト/協奏曲 ト長調 第3楽章より
プロコフィエフ/ソナタ 第1楽章より
など。
「普段、自分ではなかなかここまでいろんな曲から取り出せない」「調性を変えて吹くのはニガテ・・・」という方にもありがたい1冊です。
(B)