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ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師による
~おもひでの名曲~

Memories Of You

Vol.33 筧 孝也 先生

宮城道雄
春の海

「春の海」といえばお正月になるとテレビなどでもよく耳にしますね。この作品は箏曲家で作曲家の宮城道雄が35歳の時に作曲した尺八と箏の二重奏です。フランスの女性ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーが来日した際にこの作品を気に入り、宮城道雄に直接申し入れ自ら編曲して演奏したのが、ヴァイオリンでの演奏の始まりだそうです。現在ではフルートとピアノ又はハープなど様々な楽器で演奏されるようになりました。
私がフルートとピアノの演奏でこの作品を初めて聴いたのは、高校生の時に行ったジャン=ピエール・ランパルのリサイタルでした。当時、普通科の高校に通っていた私はその時に演奏されたフルートの作品をあまり知らなかったのですが、アンコールで演奏された「春の海」はまるで尺八と箏のような音色でとても印象に残りました。

能管を吹く幼少期の筧先生


話は変わりますが、私の祖父は能楽師で名古屋の「藤田流」の能管奏者でした。そのようなことから私も小4の頃から半ば強制的に(笑)習わされまして、中学でフルートを始めてからもしばらくは並行して演奏していました。このころはフルートを吹くと息が広がってしまい、なかなかきれいな音が出ませんでしたが(能管の方が歌口の穴が大きいのです。)、逆に尺八のむら息のような音は得意でした。実際に「春の海」をフルートで演奏したのは大学を卒業した後で、箏、ピアノ、オーケストラなど様々な編成で演奏する機会がありました。この時ばかりは昔、能管を吹いていたことに感謝しました。邦楽特有の感覚を持っていたことや尺八のような表現が演奏に活かされたのです。特に冒頭の箏の前奏などは楽譜通りのタイミングでは弾かないものです。でも、阿吽の呼吸で音楽を作っていくのはライブ感があってとても楽しいです。

私にとって「春の海」はフルートで日本の心に触れる窓口のような作品です。よく生徒さんにはこの曲やりたいけど難しくて...と言われますが、是非チャレンジしてほしいです。


<楽譜のご案内>

楽譜ID:13591

曲集/フルート名曲31選(編曲:衛藤幸雄)

出版社:DOREMI

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KAKEHI TAKAYA
筧 孝也 先生 名古屋教室 火、金曜日クラス

愛知県立芸術大学音楽学部卒業。同大学院修了。
村田四郎、寺本義明の各氏に師事。また、マスタークラス等でパウル・マイゼン、アンドレアス・ブラウにも指導を受ける。室内楽を故菅原眸、故中川良平、村田四郎の諸氏に師事。
これまでにジョイントリサイタル、2009年、2016年にはソロリサイタルを開催する。
日本フルート協会理事、名古屋笛の会副会長、名古屋フランス音楽研究会、愛知ロシア音楽研究会会員。
名古屋ニ期会オペラ管弦楽団、アンサンブル・ノービレ団員。
東海地方を中心に、ソロ、アンサンブル、オーケストラ等で演奏活動を行っている。

※プロフィールは、掲載時のものとなります。最新情報につきましては、こちらよりご確認ください。

Vol.34 平山 恵 先生(次回掲載予定)