解説
貧しい環境にありながらも、カーク=エラートは音楽の才能を認められて、ライプツィヒ音楽院でライネッケなどに教えを受け、ピアニストとしても大きな成功を収めました。グリーグに作曲家として認められて出版社を紹介された彼は活動の場を広げていきました。オルガン、ハルモニウムの演奏家、作曲家としての仕事は、彼の最も重要な分野と言えましょう。1915年の戦時中、彼は軍楽隊に奉仕で参加して、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席フルート奏者Bartuzatに出会い、ベーム式フルートの性能に触発されて、短期間にたくさんのフルート作品を作曲しました。 「異国の印象」Op.134は、色彩的な効果を試みた点で、彼のフルート作品の中でも異色の存在です。I.田園詩、II.絵画的な踊り、III.ハチドリ(ピッコロ持ち替え)、IV.白蓮、V.ブラフマーのエヴォカシオンの5楽章から成り、ピアノのパートも、チェレスタやタムタムなど他の楽器を模すように指示があり、当時の異国趣味をうかがわせています。印象派の本流の作品とは遠い存在ですが、カーク=エラートを知る上で興味深い作品です。(解説/佐野悦郎)ニュース
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