解説
著者のロビン・チャップマンは1962年より1970年までBBC交響楽団に (ピッコロ奏者としては1967年から)、また1970年よりロンドンフィルハーモニーに在籍しているフルート兼ピッコロ奏者である。A.マレー、G.ギルバートに師事している。ピッコロスタディーズと題されたこの本の内容は、すでにフルート奏者としての能力を持った者に対して、非常に短い時間でピッコロに対する強くそして柔軟なアンブシュールを発展させるために3つのエクササイズ、替え指の運指表とその為の1つのエクササイズ、また具体的な曲のどういった所でその運指を使うかについて、3つのスタディーズ、「カジュアルなお付き合い?」 と題されたピッコロのさらい方を含めた読み物から成っている。この本の中で彼はロンドンのオーケストラにおける30年間に及ぶ経験から生み出された実にさまざまな忠告を述べている。例えば 「H, C, Cis がすべて高ければ頭部管を抜くように」、「タンギングに悪い方法はない、結果を得るその1つの方法が正しい方法である」、「演奏者が良いとみなされるたくさんの根拠 (美しい音、良いブレスコントロール、良い意味での神経質、早いタンギングの能力、明確な指のテクニック、完全なイントネーション等) があるが、良いイントネーションと明確な指のテクニックは最上のものである」 等である。また、20個の替え指について表に示し、その指を使用する具体的な曲名についても示されているが、胴体の開口部を右手小指でふさぐ指使いについても書かれていて興味深い。 (タンヅァーの運指表にも高音のAについてこの方法が示されている) 替え指について、そのフレーズが早い場合、5度下の指でのオーバーブロウとトリルの指を使う事を実例を挙げて勧めている点、その他、高音域における困難なソロではヘッドコルクを動かす事についての記載もみられて面白いが、著者も述べているように、これらの運指その他については最大の注意を払って取り扱わなければならないと思われる。序文にもあるようにこの本はすでにフルーティストとしての能力を持っている人を対象に書かれており上級者向けといえよう。(解説/高久 進)ニュース
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