解説
テオバルト・ベームは途方も無い人間でした。私たちの使っている 「ベーム・フルート」 の発明、卓越した金細工師かつ機械工、バイエルン国王の製鉄職人にしてピアノ製造家、ミュンヘン宮廷楽団のソロ・フルーティスト、としてヨーロッパ中を股にかけた演奏家・・・・。また自分の技量を十分に発揮するために、作曲技法も独学で修得したのでした。「うつろな心」 による変奏曲は、イタリアの作曲家パイジェルロのオペラ 「水車小屋の娘」 の中の有名なアリアを主題としています。この曲でベームは、序奏からフルートの響きやすい音域で豊かに歌わせています。旋律のなかに装飾音や非和声音を巧みに織り込み、自然な音楽の流れが息づいているのです。低い音域で主題が奏された後、第1変奏はレガートの性格を持った変奏。無窮動のような第2変奏。第3変奏は大胆な跳躍を見せ、第4変奏はト短調に転じ、第5、6変奏は、ヴィルトゥオーゾ風の技巧を見せるようになっています。ひとりの演奏家のいろいろな面を引き出すことのできるこの曲、テクニックの面ばかりでなく、デリケートな歌い口をもって接してください。(解説/三上明子)ニュース
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