解説
ロマン派後期の代表的なフルーティスト、E.ケーラー (1849-1907) は数多くの優れた練習曲を残しており、我が国でもその価値を高く評価されています。余りにもその存在が大きく、その陰に多くの美しい詩のような小品、幻想曲の名曲の数々が隠れてしまったのですが、しかし近年になり、再び脚光を浴び、多くのこれらの作品が再版される傾向になりました。中でも注目されている作品がこの 『ショパンの主題による演奏会用二重奏曲第2番』 です。この曲は3つの部分から構成されており熱情の序奏に続きロマンティックな香りのト短調の美しいメロディーと栄光をたたえる行進曲風の華やかで技巧的な変奏曲になっています。表題のショパンの主題は彼の有名な 『ピアノソナタ第2番 変ロ短調 op.35』 の第3楽章 『葬送行進曲』 の中間部が用いられています。この曲はソナタ着想以前にハ短調の 『葬送行進曲 op.72-2』 として既に完成されていたものです。ケーラーはロマン派のピアノの詩人ショパンの偉大な功績を称え、その死を悼み、それ故にこの主題を用いてさらに自分自身の生命を与え、蘇らせ、彼への讃歌としたのではないでしょうか。少々考え過ぎて、こじつけでありますが、ケーラーは次の事実を少なからず意識していたのだろうと考えます。「ショパンが亡くなった1849年、この年に生まれ変わりのようにケーラーが誕生している事、それ故に、この 『演奏会用二重奏曲』 も同様、ショパンの主題が変奏されケーラーの作品に蘇ったことを・・・」 事実は?演奏会場のお客様にお尋ねしてみてはいかがでしょう。ショパンの主題はどこに用いられているかも含めて・・・・・・・。(解説/佐野悦郎)ニュース
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