解説
この本は、最近のフルート人口の増加でフルート・アンサンブルやフルート・オーケストラが重要視される中で、アンサンブルの曲は沢山出版されていても、アンサンブル用の練習曲は殆どなく、しかも、初心者向けや指導者がいなくても出来る練習曲がないので考えてみてくださいと、村松から依頼されたのがきっかけで出来たものです。始めは簡単に引き受けたことを後悔しましたが、その時助けになったのは、二宮 洋氏が書かれたアンサンブルエチュード1でした。このエチュードを桐朋学園大学の管楽器基礎クラスのフルート・アンサンブルで使わせて頂いてるうちに、色々な考えが出てきました。この考えを二宮氏と話し合い、新たにアンサンブル・エチュードUの作曲をお願いしました。このエチュードを桐朋学園とアマチュア・フルーティストの集まりであるフルート・フォーラム等で試みたところ、かなりの成果と評価を得ることが出来ました。そして、このアンサンブル・エチュードUに、中学生や高校生、そして一般のグループで、指導者がいなくても自分達で練習出来る用に、なるべく理解しやすい解説を加えて出来たのがこのアンサンブル・エチュードです。このエチュードの特色は、自分の音程をチューナー等で見るのではなく、他の人の音をよく聴き、それに自分の音を合わせるという、耳で聴く能力を高めて頂きたいために、一人で出来る簡単なチューニング方法と練習法、そして初歩的で基本的なユニゾンとオクターヴの練習に重きを置いてある事です。その後にリズム、アーティキュレーション、ダイナミクスの練習を加え、ハーモニーの練習へと進み、パート数も1パートから4パートまで増える中で、ピッコロとアルト・フルートも加えられる様にしました。また、バス・フルートも一番下のパートを利用することが出来るようになっています。最近では、アルト・フルートやバス・フルート等の特殊楽器をお持ちの方もおり、フルート・オーケストラの曲を楽しまれることも多いと思われますが、曲の練習の前に、是非このアンサンブル・エチュードでウォーミング・アップされることをお勧め致します。そして最後の応用編ではモーツァルト最後の曲 「レクイエム KV626」 より 「ラクリモーザ」 をフルート・オーケストラ用に編曲しました。4人から7人以上のフルートアンサンブルやフルート・オーケストラで、アルト・フルートやバス・フルートがなくても演奏出来る様になっています。私の恩師、故林りり子先生がアンサンブルについてよく話されたお言葉があります。それは 「オーケストラに入りたては、他の音が大きくて自分の音がよく聞こえないもので、少し慣れてくると自分の音はよく聞けても、他の音がよく聞き取れなくなり両方がよく聴けて良いアンサンブルが出来るようになるには何年もかかるものヨ!」 ということです。このように、良いアンサンブルが出来るまでには長い期間の練習と経験が必要です。このアンサンブル・エチュードがそれを少しでも容易にし、また楽しく出来るお役に立てれば幸いに存じます。(解説/北村 薫)ニュース
関連サイト
注文ボタンのない商品につきましては、右上の「お問い合わせ」よりお願いします。