解説
この 『エピタフ (Epitaphe / 1986) 』 は 《ベルリン祝祭週間》 の委嘱作品であり、楽譜 (Score) 冒頭に 「ゲルトルート・ツェラーの思い出のために」 (a la memoire de Gertrud Zoeller) と記載されています。この名前の人ゲルトルートはカールハインツ・ツェラー氏の夫人であり、共に有名なフルーティストでした。エピタフとは 「墓碑銘」 を意味する語 (仏) でありこの曲は故人ゲルトルートに捧げるレクイエム (鎮魂歌) であると解釈します。この現代的な音響空間 (和声) は、聴く人をこの世にはない美しい神秘的世界に誘い込みます。Manfred Trojahn (1949-) は現代ドイツの 《簡潔派》 に属する中堅の作曲家であり、ドイツとフランスを拠点にし、欧州の各地音楽祭で自作の管弦楽曲、オペラ等の作品を、自ら世界の主要オーケストラを指揮し、好評を博してきました。彼はハンブルクの学生時代 (1971)、D.ド・ラ・モット氏に作曲を学び、同時にフルートをK.ツェラー氏の許で学びました。彼の主要作品は管弦楽曲・歌劇ですが、そればかりでなくフルートを組み込んだ室内楽曲も大変に優れています。特に若い時代のフルート六重奏曲 『雨の色 (1972 / 5Fl & AltoFl) 』 が有名ですが、それ以上に師匠と夫人のために捧げられたこの 『エピタフ』 【最上級演奏会用】 は20世紀の名曲四重奏曲として多くの人々の感動を与え、その胸に刻み込まれるでしょう。(解説/佐野悦郎)ニュース
関連サイト
注文ボタンのない商品につきましては、右上の「お問い合わせ」よりお願いします。