解説
テュルーは、19世紀の名人芸の時代、パリを舞台に活躍した名フルーティストでした。彼の吹くフルートの音色の多彩さ、音程の確かさ、完璧なテクニックと洗練されて輝かしい演奏は、当時の人に強くアピールしました。同年代のドゥルーエとは好敵手で、パリの聴衆の前で何度も演奏を競う形で2年間判定がつかなかったのですが、1816年にルブランのオペラ 「うぐいす」 の重要なフルート・ソロを言いようの無い優美さとデリケートな表現を見せたテュルーにパリの聴衆は軍配を上げたのでした。彼は、パリ音楽院の教授を務めた間、ベーム式フルートの導入を拒んだことでも知られています。「グラン・ソロ」 は全部で15曲残されています。第5番は、歌手が朗々と歌うようなテーマが3度提示され、巧みにフルートの技巧へとつなげる第1部Adagio でゆっくりとした歌をきかせる第2部うわさ話が広がってゆくような効果を使ったパッセージから、華やかな終結部へとつながってゆく第3部から構成されています。表現の粋を選りすぐってパリの聴衆を魅了するように体験的な工夫が施された曲なので、その効果が反映される演奏ができるといいですね。(解説/三上明子)ニュース
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