解説
フルート三重奏の名曲を残した歴代の代表的な巨匠達を年代順に並べると、T.B.ベルビギエ、J.L.トゥルー、Fr.クーラウ、A.B.フュルステナウ (1792-1852)、E.ワルキエ、K.クンマーが挙げられます。彼らが活躍した18世紀末から、19世紀前半にかけての前期ロマン派の時代には愛好家たちも盛んに室内楽を楽しむ様になり、これを機に多くの名曲が生まれました。いわゆる 【フルート室内楽・第2期黄金時代】 の到来です。この時代の三重奏の基本形式は3楽章配列の構成であり、それより大きな4楽章構成を一般的に 《大三重奏曲》 と呼んでいました。それぞれに作曲家達はその作風や書法に特徴、工夫、嗜好や技巧を駆使して作品を練り上げたのでした。勿論の事、A.B.フュルステナウもその一人であり、この作品 「op.66-No.1, 2, 3」 【中 ・上級者用】 にも創意工夫が試みられています。3楽章構成にもかかわらずここでは 『大三重奏曲』 と表記していますが、その理由は終楽章ロンドに 「フーガ」 を組み込んだ事にあると考えられます。このフーガにより作品全体の構築力を増し、更に第1楽章とのバランスを整え、終曲を効果的に盛り上げる事に成功した大三重奏曲です。今回のこの楽譜は初版 (C.F.Peters / 1827, 1829 LEIPZIG) の原典に基づくものであり、そのタイトルには 【フーガ付き (avec des Fugues) 】 の記述がありました。ちなみに 「op.66-No.1」、これも同様 「フーガ付き」 です。(解説/佐野悦郎)ニュース
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