解説
タファネルは、フルーティスト、作曲家、そしてパリ・オペラ座などで指揮者も務めた音楽家でした。教授としてフルート科を受け持ったパリ音楽院のクラスからは、ゴーベール、フルーリー、モイーズなど名奏者が輩出し、近代フランスのフルート音楽の父とも言える存在でしょう。ドリーブのオペラ・コミック 「ニヴェルのジャン (1880) 」 は、今日では上演される機会の少ない作品ですが、作曲された当時は大きな成功を収めました。タファネルは、サロンで自ら演奏するために、「ニヴェルのジャン」 初演の翌年に、このオペラから4曲を選んで 「グランド・ファンタジー」 として作曲して、パリ・オペラ座のフルーティストでタファネルの友人であったドンジョンに捧げています。この曲は、フルートの低音の歌い回しの魅力をきかせる 「Mandragore (曼陀羅華 )のバラード」 に始まり、フルートの持ち味を極めて効果的に引き出す作品に仕上がっています。19世紀終わりのパリのサロンにタイム・スリップしてしまったような錯覚を覚える娯楽的な要素が魅力の曲です。(解説/三上明子)ニュース
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