解説
シューマンは、作品1「アベッグ変奏曲」に始まり、1839年頃までピアノ曲ばかり作曲していました。それが一転して、クララと結婚した1840年は「歌の年」になり、「詩人の恋」など歌曲の傑作が多く集中的に作曲されました。1842年頃からは、室内楽作品に比重が移り、色々な編成の作品が書かれています。ホルンとピアノのための「アダージョとアレグロ」(原題「ロマンスとアレグロ」)は、1849年、新しく改良されたバルブ付きのホルンのために作曲されました。バルブのないナチュラル・ホルンでは出しにくかった半音が、この曲の出だしの1小節目から使われています。後半アレグロの3連符の連打では、ホルンの得意なパターンが活かされますが、中間では多くの半音が使われています。ピアノ・パートもたいへん充実していて、クララは「素晴らしい作品、はつらつとして情熱的」と書き残しています。また、この作品はチェロやヴァイオリンでの演奏も可能と指示されています。フルートで演奏する場合も、アダージョでは甘く夢見るような音色と歌の表現、アレグロではホルンの勇壮さを出すことができればと思います。(解説/佐野悦郎)ニュース
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