解説
当時の室内楽において大(Grand)三・四重奏の一般的様式は「4楽章構成」を指しますが、A.B.フュルステナウの考え方ではOP.66の様に、終楽章にフーガを配置することが大三・四重奏曲の条件であったと思われます。唯一この「Grand Trio OP.118」が4楽章構成で書かれており、各楽章は次の通りです。第1楽章Allegro con spirit 4/4[F]はソナタ形式で書かれ、第1主題[F]は元気溌剌とした分散和音主題で「フィガロの結婚」序曲冒頭を思わせます。第2楽章には分散和音主題が急上昇し、音階でなだらかに滑空するScherzo 3/4[F]が配置され、Trio主題[B]はワルツ風に優美に舞います。第3楽章Andante 3/4[C]は短い三部形式で書かれ、明るく和声の中で清らかに歌います。第4楽章Rondo Allegretto 6/8[F]は大三重奏曲に相応しい構築力のあるロンド形式で書かれ、爽快なロンド主題と対比する副主題のコントラストが美しく奏で合います。後半に荘重なフーガ主題が現れ各パートに飛び交う様に動き周ります。(解説/佐野悦郎)ニュース
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