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この曲は、第2楽章に有名なシチリアーノがあることで忘れ難いソナタですが、以前から、J.S.バッハの真作ではないということが論議されてきた問題の曲です。J.S.バッハが作者でないとすれば、息子のC.P.E.バッハの作ではないかとする見方が多かったのですが、この当時のC.P.E.バッハの作風とずいぶん違うので、この説も説得力を欠いています。1999年にBREITKOPF社からB.クイケン氏の校訂する版が出ましたが、ここで、ついに表題の “J.S.” のみならずバッハにも “?” 印がつきました。彼の解説によれば、現在の時点での仮説としては、J.J.クヴァンツが作曲したトリオ・ソナタQV2:18が、やはり変ホ長調で書かれ、このソナタの成立の元となっており、クヴァンツ自身がこのトリオ・ソナタを1747年に (J.S.バッハからの影響も受けつつ?) 改作したのではないかと推論しています。細かくは、クイケン氏による「あとがき」 を読んでいただきたいと思いますが、私は、ここで、才能を啓発しあって、作品に反映することのできたドレスデンやベルリンの風土に驚きを覚えました。現在まで受け継がれてきたこの曲には、きっと、杓子定規では計れないドラマがあったのでしょう。(解説/三上明子) 新バッハ全集(1963)において、J.S.バッハの真正な作品ではないとされてから、このソナタの作者について様々な憶測がされてきました。このソナタは、息子エマヌエルの遺産目録にも、ヨハン・ゼバスティアンの作品として筆写譜が残されているので、スタイルとしてヨハン・ゼバスティアンの作品にふさわしくないにしても、それだけの理由では偽作と断定できない面があるのです。そこで、若きエマヌエルの作曲の課題用に、ヨハン・ゼバスティアンが、進歩的なスタイルで作曲したこのソナタを提示し、それを手本にエマヌエルがト短調のソナタを作曲したのではないかという推測が生まれたのです。 第1楽章はチェンバロ・ソロの右手が雄弁に奏しますが、左手は同一音の反復が多く、真正なバッハのソナタとは違った性格を提示し、親しみやすいフルートの旋律へと続きます。第2楽章シチリアーナは、単独でも取り上げられる超名曲。関係調ではないト短調になっています。第3楽章は、音型の繰り返しが次の時代を先取りしている、当時としてはモダンな音楽です。(解説/三上明子)ニュース
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