解説
イベールのフルートのための作品としては 「フルート協奏曲」 (1934) と、その2年後に作曲された独奏フルートのための 「小品」 が有名ですが、「ソナチネ」 Jeux (戯れ) は、その10年程前の1923年に作曲されました。イベールは、1919年にローマ大賞を受賞して、1920年から23年の間ローマに留学しましたが、その間の成果のひとつとしてこのソナチネが完成し、ルイ・フルーリーにより初演されました。第1楽章・アニメ (活発に)、第2楽章・ターンドル (優しく)、あわせて5分程の短いソナチネです。この曲には、例えば、プーランクのソナタのようにはポピュラーになりにくい、一種とらえどころのなさがありますが、フルートとピアノのパートを上質の絹糸で織り合わせたような、細心の仕事が光っています。前年に作曲され、同じくフルーリーに捧げられたミヨーのソナチネを思わせるものも持っています。ドビュッシーの 「シリンクス」 も初演し、ルーセル 「笛吹き達」 の中では 「クリシュナ」 を捧げられているフルーリーの笛の音はどんなものだったんでしょうか。いずれも、極上の音色を想定しているように思われるので、今更ながら彼の音色に思いを馳せてしまいます。(解説/三上明子)ニュース
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